信念を貫くとは、あえてこのドラマの設定に沿っていうなら、ギャル的な行動とは、そういうものであるはずなんです。何がしたいのか全然わかんない。いや、わかんなくはないんです。レシピのコピーが完了した段階で立川さんを欠勤させ、結さんたちの活躍によって社食の危機を乗り切り、立川さんとの和解を図りたいのでしょう。スズリンが栄養失調で倒れたように、ルーリーが夜の街を徘徊したように、そして阪神淡路大震災が発生したように、ドラマの展開に要請されて立川さんに場当たり的な悲劇が訪れる予感が漂います。
カッパはもうダメだ
一方、野球部の四ツ木翔也(佐野勇斗)はもうダメです。日に日に肩の痛みが増していますが、指導者や高校からバッテリーを組む捕手にも肩の状態を報告しません。そして書籍をパラパラとめくって「自然治癒しない」という文言を見つけると、絶望しています。
この人はメジャーリーグを目指す野球選手なわけですが、そういえば「変化球」を知りませんでした。自然治癒しないことを知って絶望するということは、もしかしたら「治療」という概念や「お医者さん」という存在も知らないのかもしれません。もうダメっていうか、そんなやつ最初からダメなんだけど、そのわりに、自身の肩の異常が「肩関節唇損傷」であることはなぜか確信しているし「自然治癒」という言葉の意味は知ってるんだよなぁ。どういう人なんだ。
結さんとのデート中、幼なじみの陽太(菅生新樹)が現れると、翔也は身を引きます。自分の肩は自然治癒しないから選手としてはもう終わりだ、結のことは陽太に任せよう、そういう心象が描写されています。
百歩譲って、その翔也の子どもじみた判断を理解しようとしても、こいつらの目の前にはチャーハン、ラーメン、ギョウザと、炭水化物が山のように積まれているわけですから、野球や食事管理に対する真剣さも伝わってこない。
総じて、誰の何に対しても真剣さが伝わってこない。