新幹線の中で、「インフォーマ」と何度も1人で言葉に出して、感触を確かめていた過去の自分に伝えてやりたい。ちゃんとその想いを伝えることができたぞと。『インフォーマ』というタイトルがこんなにも多くの人に口に出して呼ばれているのを知れば、あの頃の私はなんて言うだろうか。私がいちばん驚かせたいのは、そんな過去の自分自身なのかもしれない。

 誰しもが抱いていた情報屋のイメージを崩すことから始め、カンテレからABEMAへというプラットフォームの垣根も、これまでにない熱意と感謝を示すことで乗り越えてきた。『インフォーマ』という物語が持つ力を信じて、私は藤井監督と実現に至るまで、さまざまなところにそれぞれに出向いていった。

 ただ、作品の方向性が当初の予定よりも大幅にズレたとすれば、「『孤独のグルメ』みたいな、永遠に続くようなドラマを作ろう!」と話していた点だ。すまない。私たちがやるとこうなったのは、ご愛嬌と思って許してやってほしい。

「インフォーマ」は、私の地元、兵庫県尼崎市からスタートして、海を渡り、気づくと再び尼崎に帰ってきて終わる物語になっている。立ち上げから考えると4年にわたる物語だ。

『インフォーマ』(サイゾー文芸部)の小説を2冊執筆し、マンガも小学館マンガワンで連載している。これらの『インフォーマ』において、すべて企画を持ち込んだのは私である。原作となるベースの物語をただ書いていたわけではない。さまざまなところでメディアミックスをかけるために走り回ってきた。

 たくさんの人たちに、続編のことを尋ねられるが、一度、漠然と話し合っただけで、それから特に本格的な話し合いはしていない。3作目が実現した場合、こうなったら面白いだろうという構想は脳裏にあるが、今はまだ先のことは正直考えていない。

 ただ私が言えることは、私は物書きである。望まれれば、『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』を超えるような物語を書こうとすることだけはわかっているし、時代がそれを求めるかどうかだと思う。