「ふるさと納税」は寄附金控除で行われる
寄附を行うと所得税では所得控除が受けられるが、住民税では税額控除が受けられる。所得控除は課税対象額から差し引くものだが、税額控除は納税額そのものが減る。住民税での基本控除額は寄附金から2,000円を引いた額の10%が税額控除される。
この仕組みの中で、控除額についての例外として設けられたのが「ふるさと納税」だ。納税と言う名称がついているが、特定の地方公共団体に寄付をしたという形で取り扱われる。この「ふるさと納税」では一定額までなら寄附金から2,000円を引いた全額が寄附金控除として税額控除される。
正確に言えば、確定申告した場合は所得税での所得控除を受けた残りが住民税から税額控除され、確定申告しない場合(ワンストップ特例)にはすべてが住民税から控除となる。
どちらにしても「ふるさと納税」(寄附)をした金額の2,000円を超える金額は、所得税の還付か住民税の減額という形で戻ってくる。自分が寄付をしたい地方公共団体に寄付することで自分の住む地方公共団体への住民税が減るので、納税先を変えたのと同じ効果が得られる。ただし、自分が住む地方公共団体への住民税の所得割額の2割までという上限があることに注意したい。
変わる配偶者控除
既に所得税では配偶者控除・配偶者特別控除が改正され、38万円(老人控除対象配偶者は48万)を最大額として、納税者本人と配偶者の所得次第で控除額が小さくなる制度となった。住民税でも同様に、33万円を最大に所得に応じて控除額が小さくなる点は上でのべた。
ただし、所得税での改正が2018年で既に実行されているのに対し、住民税では2019年度から実施される。これは所得税が所得の発生時に課税しているのに対して、住民税では翌年度に課税しているからだ。住民税での配偶者控除・配偶者特別控除の変更に伴う納税額の変更は2019年度から始まる。
16歳未満の子の地方税での取り扱い
16歳未満の子どもは、所得税でも住民税でも扶養控除の対象とはならない。しかし、住民税では非課税限度額の算定に際して世帯人員数に含める。住民税の非課税基準は35万円×世帯人員の数+加算額で計算される。
加算額は、住民税のどの部分を非課税とするかで異なる。住民税は所得に関わらず定額の部分(均等割という。都道府県と市町村にそれぞれ年間1,500円と3,500円、合計5,000円)と、所得に応じた部分とがある(所得割という。都道府県に4%市町村に6%の合計10%)。
所得割が非課税となる場合の加算額は32万円だ。つまり、前年の総所得金額等が35万円×世帯人員+32万円以下で所得割が非課税となる。均等割では加算額が35万円×世帯人員+21万円以下となる。この非課税の計算での世帯人員に16歳未満の子も含まれる。控除とは異なるが、この基準を満たすことで住民税の負担がなくなる可能性がある。
これは国税にない制度で、形式的には所得税での所得控除の申告手続きとは別に行うものだが、納税者の利便性を考慮し、所得税の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と同じ用紙で申告することになっている。年末調整前に会社から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を受け取ったら用紙の下部に注目してみよう。「住民税に関する事項」欄に年齢16歳未満の扶養親族の記載欄があるはずだ。