◆映画館でプラネタリウムを擬似体験できる
原作小説からのアレンジが、物語の本質を損なうことなく、映画ならではの「伝え方」にもなっていた。
中でも大きな変更点は、2人が働いている建築資材などの金物を扱う会社を、科学工作玩具や理科実験用機材の制作や販売を手がける会社にしたことだろう。そのため、終盤では原作にはない「移動式プラネタリウム」という舞台装置が登場する。
映画館のスクリーンで見れば、劇中の登場人物と同じように「暗闇の中で星を見る」プラネタリウムの擬似体験ができるし、その時のナレーションも、さまざまな「生きづらさ」や「孤独感」を抱えた人たちへの、真摯なメッセージにつながっていた。