ただ、新規店舗をオープンしたとしても、延々と新規契約者が増えるわけではありません。いずれは新規契約数が鈍化しますから、次第に経営は圧迫されます。さらに、お客さんからの前受金をすでに使い果たしているとしても店舗では月々の経費がかかります。その時々に来る新規契約者の前受金をたよりにして経営する、自転車操業に陥ってしまうんです。アリシアクリニックに限らず、手元の資金が満足にないまま維持を続け、結果、倒産した脱毛サロンも少なくないのが現状です」

◆次第にサービスの質も悪化していった

脱毛
 前受金で無制限に客が通い続ける体制を見直したのか、アリシアクリニックは2019年に通い放題のプランを廃止。それでもひずみは解消できなかったのか、同時期には「サービスの質が悪化しはじめた」と六條さんは振り返ります。 

「私のブログでもさまざまな倒産事例を紹介しているのですが、一つ、目立った変化としては、通い放題の廃止と共に新たな脱毛機器を導入したことがありました。他のクリニックでも導入されている機器で、導入コストが安く丁寧に扱えばそれなりの効果は見込めるものでした。ただ実際には、クリニック側の都合で施術時間を短縮するために導入されるケースが多く、結果としてサービスの質が落ちてしまい、クチコミでも『あまりよくない』という声が目立ったんです。

他にも、2024年春頃にはアリシアクリニックが長年にわたってこだわっていた『当日キャンセル可』が廃止されたのも、わかりやすい変化でした。私自身、破産直前に顔脱毛のレーザー照射で身の危険を感じたこともありました。それまでは丁寧な施術を心がけていた印象でしたが、私が受けた日は、目の付近でのレーザー照射時に痛みを感じて、『目が痛いです』と訴えてもやめてくれず、事後に一言謝られただけで、細かな説明は何ひとつありませんでした」

◆ハイエナ脱毛サロンに飛びつく前に

 アリシアクリニックの破産開始決定を受けて、行き場を失ったお客さんを受け入れようと「見かけだけの救済プラン」を打ち出す“ハイエナ脱毛サロン”もあるとか。「施術を受けるかどうか、慎重に判断してほしい」と、六條さんは警鐘を鳴らします。