「そのうち、週に2~3回はランチタイムに来店。常連さん状態となり、この頃から図々しくなっていきました。ランチタイムが終わってもなかなか帰らず、声をかけると『ごめんなさい』と申し訳なさそうに謝って帰宅するのに、また同じことを繰り返すのです」
歯向かってくるわけでもないため、店側も春奈さんもその都度、ランチタイムの終了時間を伝えることぐらいしかできません。ほかにも、開店前で準備中のプレートを吊るしてあるのに、「少し早いけど、店内で待ってもいいですか?」と聞いてくることもありました。
「はっきり言って、結構迷惑なんですよね。でも、トラブルを避けたい雇われ店長は、開店前の店内で待たせてしまったのです。するとSさんは、当然のように準備中でもやってくるようになりました。それだけではありません。日に日に態度も要求も大きくなっていきました」
◆ほぼ食べ終えてるのに「肉が硬くて食べられない」
ほとんど料理を食べ終えているにもかかわらず、「肉が硬くて食べられない。ほかの料理に交換してほしい」など、驚くような要求をしてくることが増えたのです。物腰がやわらかいのでオブラートに包まれてはいましたが、それはまるで陰湿なイジメのようでした。
「私がSさんについて相談しても、店長の反応は、いまひとつ。それなのに、『そっちでどうにか解決して』というような雰囲気を醸し出してくるのです。仕方なく、Sさんから料理についてクレームがあったとき、『もうこれ以上の要求はのめない』と、丁寧に断りました」
すると、Sさんは豹変。「上の人を呼んで」「その態度の悪さも謝罪させてやる」と、人が変わったように冷たい声で言い放ちます。思わず、「どうしよう」と固まってしまった春奈さん。そのとき、事情を知っていたスタッフのひとりがスタスタとテーブルに近づいてきました。
◆普段は癒し系の女性店員が豹変!?
「そのスタッフは普段、ほのぼのとした雰囲気を身にまとった癒し系女子。アイドルのような彼女が次の瞬間、ものすごい形相でSさんを睨みつけ、声を潜めて『あっ? なんや脅しとるんか? ん?』と関西弁で捲し立てたのです」