美咲さんは、取材のために丁寧にメモをしてきてくれました。このように、非常に真面目で勤勉な女性なのです。そんな彼女が、6年間も婚活に費やすことになったのはなぜなのでしょうか。
場の空気を読み、周りの期待に応えようとする美咲さん。婚活でも“型”に当てはまるよう擬態をしていたのですが、頑張れば頑張るほど自分を見失って迷走してしまいます。
そもそもなぜ、彼女にはお付き合い経験がなかったのでしょうか。
◆女性ばかりで出会いがない環境、そして母親は過干渉
実は、美咲さんは中学時代にクラスの男子からいじめられる経験をして男性が苦手になりました。部活は吹奏楽部で、男子部員も少なく男性と会話することはあまりありませんでした。
女子高に進学して、男性との接点はさらになくなります。絵を描くことが得意だった美咲さんは美術に打ち込み、美大に進学します。大学は共学でしたが美咲さんの学部は圧倒的に女性が多く、男子学生はすでに彼女がいるか、女性が恋愛対象でない男性や恋愛に一切興味がない男性、または尖りすぎている癖が強い人、のいずれかに分類されたそうです。
他大学とのコンパもなく、周りでも彼氏がいる女性はごく少数派でした。彼氏が欲しいとは思ったものの、具体的に何か行動をすることはありませんでした。
美咲さんには別の事情もありました。お母さんが過干渉気味で、大学生になっても友達との外泊を禁止するような方なのです。彼氏どころか、男友達を作るのも難しい学生時代を過ごしました。
◆男性は多いけど……職場恋愛が「まったく望めなかった」理由
大学卒業後に、アプリの企画運営をしているIT企業にデザイナーとして就職します。美咲さんは秋採用でした。同期は男性も多かったのですが、美咲さんが内定した時にはすでに夏採用組内でグループやカップルが生まれていてその輪に入りにくかったそうです。