音楽やキャラクターが感じさせる“つながり”

印象的なのが、『ミラベルと魔法だらけの家』のリン=マヌエル・ミランダが手がけたすばらしい歌曲の数々だ。1曲1曲はオリジナリティにあふれていながら、それぞれの楽曲の物語上の位置付けは、前作『ライオン・キング』の楽曲たちとどこか対応しているように感じられ、ムファサの歩んだ道のりと、その息子シンバが『ライオン・キング』で辿る成長の過程が、親から子へ継承されるサイクルとして強調されているように感じる。

たとえば『ライオン・キング』のオープニング楽曲「サークル・オブ・ライフ」の代わりに、今作では「遥かなミレーレ」(Milele)が理想の故郷への想いを感じさせる。同じように今作の「ブラザー/君みたいな兄弟」(I Always Wanted A Brother)が「王様になるのが待ちきれない」(I Just Can’t Wait to Be King)に、「バイバイ」が「準備をしておけ」(Be Prepared)に、「一緒に行こう」(We Go Together)が「ハクナ・マタタ」に、「聞かせて」(Tell Me It’s You)と「裏切りの兄弟」(Brother Betrayed)がティモンとプンバァパートも含む「愛を感じて」(Can You Feel the Love Tonight)にあたる展開に用意されているのだ。

さらに、今作ではライオンたちだけでなく、猿(マンドリル)のラフィキや鳥のザズーといったシリーズおなじみのキャラクターたちがいかにしてプライドランドで重宝されるポジションについたのかも垣間見られる。世界観が楽しく深掘りされる、ディズニーファンにはたまらない1作といえるだろう。

ドラマチックな物語で人気キャラクターの過去を補完しながら、自然や野生の厳しさや前作をリスペクトしたつながりも感じさせる『ライオン・キング:ムファサ』は12月20日(金)日本公開。ぜひ映画館の大画面で、ドラマとスリル、そして音楽を味わっていただきたい。

作品情報

タイトル:『ライオン・キング:ムファサ』
原題:Mufasa: The Lion King
全米公開:2024年12月20日
監督:バリー・ジェンキンス
字幕版声優:アーロン・ピエール、ケルヴィン・ハリソン・Jr.、ティファニー・ブーン、マッツ・ミケルセン、ドナルド・グローヴァー、ブルー・アイビー・カーター、ビヨンセ・ノウルズ=カーター、ジョン・カニ、セス・ローゲン、ビリー・アイクナー、プレストン・ナイマン、カギソ・レディガ
超実写プレミアム吹替版声優:尾上右近、松田元太(Travis Japan)、MARIA-E、吉原光夫、和音美桜、悠木碧、LiLiCo、賀来賢人、門山葉子、佐藤二朗、ミキ亜生、駒谷昌男、渡辺謙
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配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン