辛いとか忙しいとか気分が乗らないとかで、私は筆を止めるようなことはしない。自分の作品を求め、待ってくれている人がいるような環境にたどり着くまで、何年かかったと思っているのだ。ありがたいではないか。私が紡ぐ物語を待ってくれている人たちがいるのだ。どんなことがあろうが、書くに決まっているではないか。

 今週からは、来年春に出版する予定の小説の推敲作業が始まる。戦い切って、また「仕掛けてきたか!」と、みんなを驚かせることが発表できたらと思っている。

 そして、『インフォーマ −闇を生きる獣たち−』もいよいよ後半戦。残すところ、あと2話となった。私の場合は、作品を世に出してホッとする気持ちと、作品が終わってしまうさみしい気持ちとが入り乱れる。

 ただ、物作りにおいて、常に前進していることを感じることはできている。ここでもしも朽ち果てたとしてもーーという気持ちで、私はいつも物語を生み出している。

 それが後退していると感じ、過去の自分のほうが熱量があったと私が思うようならば、作品作りとして限界を超えてきていないということだ。それはつまり、私の思うプロではないのだ。どこかで妥協があったからこそ、そう思うわけで、私はまだ新しい物語を生み出すとき、過去の自分と対峙して、いつもそれを超えてきていると思っている。どうせなら、限界の先にどういう景色が待ち受けているのか、見てみたいと思っているのだ。

 第7話には、ついにあの男が姿を見せる。その男も闇が生み出した獣だろう。存分にソーシャルメディアを『インフォーマ』で埋め尽くしてほしい。

 龍之介の「チップが日本に入ったという連絡がありました」という声も、今夜あたりに聞けるのではないか。

(文=沖田臥竜/作家・小説家・クリエイター)

ドラマ『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』
毎週木曜日23時~ABEMAにて放送
週刊タイムズの記者・三島(佐野玲於)は、世間を騒がせている〈闇バイト殺人事件〉の黒幕を調べるために、編集長の命でタイ・バンコクへ飛ぶことに。そこで三島を待ち受けていた人物は……2年前の〈火だるま殺人事件〉で三島に地獄を味わわせた、“インフォーマ”の木原(桐谷健太)だった。木原に翻弄されながらも取材を進める三島。そして2人の前に、インフォーマを名乗る謎の男・鬼塚(池内博之)が立ちはだかる。木原と三島は、〈闇バイト殺人事件〉で盗み出された”謎のブツ”をめぐり、鬼塚・そして現地マフィアと壮大な情報戦に巻き込まれていく——。