そしてそこで2人は、『正体』の舞台挨拶にもかかわらず、『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』の宣伝もしてくれたのだ。映画の本編で私を泣かせて、その後の挨拶でも私を泣かせようというのか。私は2人の人間性に心が揺さぶられ、いたく感銘を受けた。同時に2人の姿が輝いて見えた。舞台上での堂々とした2人の姿は、自信に満ち溢れていた。
こんな窮屈な時代でも、彼らは映画『正体』という作品で、真っ正面から世の中に向かって想いを届け、人々の心を魅了してみせている。私が小説家になろうとペンを握った時に感じた感動がそこにあったのだ。今、伝えたい映画がここにある。藤井道人監督、横浜流星さん主演、映画『正体』。忘れていたものを思い出すことのできる映画だ。
舞台挨拶の翌日の火曜日は、『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』の第6話で挿入歌を歌ってくれたケイスケサカモトさんがホストを務めるラジオ番組への出演があった。
医師から処方された薬で熱を下げて、なんとか喋り通した。私の話なんかで人が笑ったり、喜んでくれるのだ。そんな有難い話があるだろうか。水曜日は、朝からzoom会議などが詰まっていて、翌日の木曜日は『インフォーマ』の舞台としても使用させてもらっている尼崎市にある「焼肉 光(みつ)」で、RIZINファイターの皇治選手と語りあった。
皇治選手には、ドラマ『ムショぼけ』と『インフォーマ』シーズン1に出演してもらっており、『インフォーマ』の出演をキャスティングしたのは私だった。
2人でいろいろなことを語り合ったが、皇治選手は本当に気持ちのよい男らしい男だ。そんな男と重ねる杯は、うまいに決まっている。
焼肉 光のお客さんたちもみんな喜び、皇治選手はお願いされた人、全員と笑顔で写真を撮ってくれていた。私にとって当たり前なことだが、こういう気持ちのよい人たちとまた一緒に仕事がしたいと思うのだ。
第6話の放送が終わった日、前回の当コラムで書いた通り、この回にかかわってもらった猫組長からも南勝久先生からもケイスケサカモトさんからも、喜びの連絡があった。これが私にとって報われた瞬間、頑張ってよかったと思える瞬間になるのだ。