最終章では軍艦島が閉山に至るまで、そして現代パートの主人公である玲央(神木隆之介:二役)は島出身者と血縁があるのか、いづみ(宮本信子)はどのようにして鉄平の日記を手に入れたのかが明かされることになりそうです。
1974年に行われた軍艦島の閉山式の記念写真には、鉄平は写っていませんでした。しかし、鉄平は今も生きている可能性があります。とはいえ野木亜希子脚本では、朝子の50年後であるいづみと鉄平が再会してハッピーエンドという安直な展開にはならないはずです。
日本が太平洋戦争に踏み切ったのは、資源&エネルギー不足が大きな要因でした。80年後の今も、その問題はまったく解決していません。化石燃料に今後も頼り続けるのか、それとも原発を再稼働させるのか。炭鉱の世界を題材にした『海ダイヤ』は、現代の日本社会の根底に関わる問題を描いています。
今年は野木脚本、塚原あゆ子監督、新井順子プロデューサーによる映画『ラストマイル』も、大きな話題を集めました。「2024年物流問題」をモチーフにした社会派サスペンスですが、満島ひかり、岡田将生ら人気キャストを起用したこともあって、興収55億円の大ヒットを記録しています。また、野木&塚原&新井が組んだ人気ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』(共にTBS系)のキャストも『ラストマイル』には登場し、「シュアード・ユニバース」としても注目されました。
今夜放送の第8話は、火災事故から4カ月が経ち、鉄平と朝子は島を離れて長崎市内でデートを楽しむことに。しかし、その後はシビアな展開が待っています。
フィナーレに向かって、ますますシリアスさが増していきそうですが、『海ダイヤ』も「シュアード・ユニバース」作品なのかどうなのかもにも着目したいところです。現代パートでも殺人事件が起きないと『アンナチュラル』『MIU404』の顔ぶれは登場できそうにありませんが、いづみの長女(美保純)の婿(宮崎吐夢)あたりが変死体で発見されれば、その可能性も浮上しそうです。いづみの秘書・澤田(酒向芳)が、実は潜入捜査官だった……、なんてのは深読みのし過ぎでしょうか。