「商品回収はスーパーにとって大事件であり、食中毒と並んで一番避けたい問題。一歩間違えると経営そのものが揺らぐほどのもので、本来なら一度全店を閉めて、全商品をチェックし直すくらい重大です。テレビなどでの報道のされ方、店舗やホームページでのお知らせや回収方法の告知など、その扱いを少しでも間違えたら、それまでの信用を一気に失くし、風評被害を生む。ヘタをすれば会社自体の存続さえ危うくなるのが、商品回収というものです」
業務スーパーで今年回収となった品目と理由を一部挙げると、PB商品「金の鶏だし」がアレルゲン「卵、小麦」の表示欠落。同じくPB「マイカップDEヌードル(カレー、チキン、ビーフ)」 がアレルゲン「卵、乳成分」の表示欠落。「冷凍アスパラガス(ホール)」が一部商品において基準値を超える残留農薬が検出されたとある。
これらのうち、「冷凍アスパラガス(ホール)」は「回収・返金」よりも健康被害への危険度が高い「回収命令」にあたる。残留農薬というとピンとこない人でも、「基準値を超える3種類の殺虫剤を検出」となれば驚くのではないだろうか。
「業務スーパーはこの回収を怠ると、次は消費者庁から営業停止レベルの行政処分が出るのでは? そもそも指導が入らないのが不思議なほどの発生件数ですが」
イオンの対応と業務スーパーの違いは? 「ノーチェックなのか?」と疑われる事例も
回収騒動はイオンなど大手企業でも発生しているが、その頻度は業務スーパーより極めて少ない。「安さを求める消費者のために、少しでも役に立ちたい企業側の努力は評価できる」とした上で、業務スーパーの問題点を同氏はこう分析する。
「価格を優先すればどうしても品質は低くなる。そこで商品チェックの人件費を削減したり、従業員教育を怠ったりすれば、今後も回収は続くでしょう。単純に『表示をチェックすればわかるだろ?』の事例さえあり、なぜいとも簡単に売り場に並んでしまうのか疑問です。いずれにせよ仕入れを担当する『商品本部』はチェックが甘すぎると言わざるを得ません」