そんなある日のこと、マンションに突然母親がやってきたとか。
「私は自分のこのヤバい状況を地元の親友にしか話していなかったのですが、その親友が『マジでヤバい』と心配して私の母に相談してくれたそうで……。実家は都心から1時間ほどですが、近所に兄夫婦が住んでいるので両親は孫の世話で忙しいし、出戻りは気まずいし、帰ることはあきらめていたんです。でも、『いったん帰っておいで』と言われ、疲れきっていたしありがたく帰ることにしました」
貯金残高を気にしなくていい安堵感と母親の手料理により、心身ともに徐々に回復していったという安西さん。
「兄夫婦にとってはやっかいな存在だったかもしれませんが、本当に助かりましたね。いまは派遣として社会復帰し、実家近くで一人暮らしも始めました。毛もすっかり生えそろったし、あとは婚活がんばるのみです(笑)」
「もし実家という“命綱”がなかったら……」と考えると恐ろしい安西さんのケース。何が起こるかわからないこの世の中、親は大切にしたいものです。
<文/鈴木うみこ イラスト/真船佳奈>