そのうち、ほかの事務員と談笑するKさんの笑い声を聞くだけで胃が痛むようになり、食欲不振に。

職場で体調不良
「それでも負けるもんかと仕事を続けていたのですが、今度は抜け毛が増え、部分的に地肌が透けて見えるほどになってしまって。髪を結んでごまかしていましたが、どんどん薄くなる髪に恐怖を感じ始めていたタイミングで、ひどいめまいと吐き気で通勤電車に乗れなくなり……。これはもう限界だと、転職5か月目で泣く泣く退職しました」

 医師の診断は、ストレスと栄養不足による胃炎と脱毛症。「心療内科を紹介しようか」とも提案されたとか。

「いま思えば軽いうつ状態だったと思うので、提案通り心療内科に行くべきだったのでしょうが、見た目的にも気持ち的にも外に出る気になれなくて。当然、再就職活動する気にもなれなくて、なけなしの貯金を切り崩しての引きこもり生活が始まりました」

 引きこもりなので服飾費や交際費はかかりませんが、問題は食費。料理に手をかける気力も失っていた安西さんが食費節約のために取った方法は、“安売り商品の大量買い”でした。

「重宝したのは業務スーパーの1kg600円ぐらいの冷凍から揚げと、近所のスーパーでたまに59円で特売されるハンバーガー。どちらも冷凍庫にブチ込んでおいて食べたいときにレンジでチンするだけだからラクだし、油っぽいからアラフォーには腹持ちも抜群なんですよ。最初はご飯にふりかけ、もやし炒めなどを食べていましたが、すぐにお腹がすくし面倒で……。野菜不足が気になるときはもやしをチンしてポン酢をかけ、その上にから揚げを乗せるというめちゃくちゃなメニューを食べてましたね」

お局のイビリで廃人寸前
 そんな食生活で体調や薄毛が回復するわけもなく、気持ちもどんどん後ろ向きに。

「お金もないし美容にかける気力もないので、ヘアケア用品もスキンケア用品ももっぱら100均。全身キシキシしてる感じで潤いがなく、でもどうでもよくて、『このまま廃人になるかも』とまで考え始めてました」