おもしろいことが起こっているな、と思うのは、ドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)のみなさんの感想などSNSで探ってみますと、けっこう「冬月が悪い」と「ヒロキが悪い」という両極端の意見があったりするわけです。冬月を演じているSnow Man・深澤辰哉のファンの方は冬月派で、ヒロキ役の田中圭のファンはヒロキ派という傾向が強いようです。
そりゃ画面に映っているこの男を愛せるかどうかなんて顔要素が占める割合が大きいのは自然なことですし、実際の恋愛や結婚だって相手の見た目がドンピシャに好みなら許せないことも許せてしまうのが生き物としての摂理でしょう。
ただ、どちらのファンも「担当にこんな役をやらせてかわいそう」とは思っていない感じがするんですよね。それは、冬月もヒロキもよくないところは大いにあるけど、その事情がちゃんと視聴者に伝わっているということなんだと思うんです。モラハラに明け暮れていたヒロキも、人妻相手に避妊しなかった冬月も、基本的には悪いやつじゃないし、けっこう真面目に生きているし、人としての優しさがあるということが伝わっている。その上で、好きだ嫌いだという判断をされている。
その分、リサ(さとうほなみ)とマコト(恒松祐里)という女性2人が割を食ってる感じはしますが、今回はリサがしこたまやられましたね。女として、背負ってるものが違いすぎたね。
「よっぽど好きなんですねえ、冬月さんのこと。……嫉妬ですか?」と言ったときの、ミワ(松本若菜)の顔。言われたリサの顔。こういう人間の意志と怨念の宿った顔を見るためにドラマを見ているといっても過言ではありません。第9話、振り返りましょう。
■その顔に水びしゃーん!
冬月に誘われて参加したフリマの事後取材という名目でミワさんを呼び出したリサ。面と向かってミワの冬月との不倫を糾弾しますが、その論旨は主に「ミワが年下の冬月をたぶらかした」「冬月が傷ついている」というものでした。