同じディズニーアニメですが、まだセルアニメが大部分を占めていた1990年代制作の『美女と野獣』から、3Dアニメ『アナ雪』はテクノロジー面だけでなく、世間的な価値観も大きく変わったことを感じさせます。『ーベルの素敵なプレゼント』ではお城でクリスマスパーティーを開くため、ベルはモミの木を切り倒すために森へと向かいます。
一方、20年後に公開された『ー家族の思い出』では、クリスマスのために生きた木を伐採することが否定的に描かれています。ディズニーがずいぶんとポリコレに気を遣うようになったことが分かります。
このままディズニーのポリコレ化が過剰に進むと、「キリスト教徒のイベントであるクリスマスを題材にすると、他の宗教を信じる人たちの気分を害するおそれがある」とか言い出すディズニー幹部も現れそうです。
今年は中編アニメ『ルックバック』もヒット
2024年のアニメ映画を振り返ると、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』が興収157億円、『劇場版 ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が115億円のメガヒットを記録したことに加え、藤本タツキ原作の『ルックバック』が20億円のヒット作になったことも注目されます。
押山清高監督が自身のアニメ工房「スタジオドリアン」で制作した『ルックバック』は、上映時間58分の中編アニメです。原作コミックの面白さを希釈することなく、丁寧にアニメ化していることから、ファンから絶賛されています。11月からアマプラでの配信も始まり、ますます話題が広まっているところです。
2019年に起きた「京都アニメーション放火事件」を彷彿させるヘビーな内容ですが、生きづらさを抱える若い世代からの共感を集めています。また、上映時間58分間の中に濃縮された情報と繊細な感情がぎっしりと詰め込まれています。タイムパフォーマンス(時間対効果)を重視するZ世代にとって、『ルックバック』は大好物のようです。