そんなエルサとアナを見かねて、オラフは2人のために新しい伝統のクリスマスをプレゼントしようと考えます。国民の家を一軒ずつ訪ねて、各家庭の伝統のクリスマスを教えてもらい、理想のクリスマスパーティーをプロデュースしようとするオラフでした。

 ひきこもり体験のある家庭や、経済的な事情から楽しいクリスマスを過ごした記憶のない人たちには、身につまされる内容です。子どものころに裕福なクラスメイトのホームパーティーに参加したものの、交換用のプレゼントを用意したり、小ぎれいなかっこうしなくちゃいけなかったりと、クリスマスにあまり楽しい思い出がない人はけっこういるんじゃないでしょうか。

 ひきこもり時代のエルサは、変な編みぐるみ「サー・ヨルゲンビョルゲン」だけが話し相手だったという逸話が涙を誘います。西田敏行さんが生きていたら、きっと「淋しいのは~、お前だけじゃない~♪」と歌ってくれたことでしょう。

20年間で大きく変わったポリコレ

 続いてオンエアされる『ーベルの素敵なプレゼント』は、ディズニールネサンス期を代表するヒット作『美女と野獣』(1991年)のスピンオフ作品です。お城に閉じこもって暮らす恐ろしい野獣ですが、もともとはイケメンの王子さまでした。しかし、みすぼらしい花売りの老女を追い返したことから呪いを掛けられ、野獣に変えられてしまったのです。

 クリスマスはその呪いを掛けられた忌まわしい記念日です。呪われて以降、お城ではクリスマスイベントはいっさい開かれなくなってしまいました。

 ヒロインのベルは読書好きで、村いちばんの美少女です。性格も優しく、父親の身代わりとしてお城で暮らすようになりました。お城に閉じ込められたままの生活にストレスも感じていたのではないでしょうか。ポット夫人の息子・チップがクリスマスを体験したことがないと知り、野獣に隠れてサプライズパーティーを企画するのでした。

 野獣に気に入られているベルの存在が気に食わないのが、パイプオルガンのフォルテです。ベルたちが楽しそうにパーティーの準備をするのを、邪魔しようとたくらみます。