◆紅茶のたとえでわかる性的同意の基本
稲葉可奈子(産婦人科専門医):小さなときから、性的なことだけじゃなくて、友達と遊ぶときでも、「遊びに誘ったのにあの子は断ってきたから私のこと嫌いなんだ」とならないように教えていきたい。人それぞれ、やりたいとき、やりたくないとき、この遊びをしたいとき、したくないときがあるよね、ということを伝えていくのが大事だと思います。
そもそも、今の日本では、性行為をする前にちゃんと同意を取るものだという大前提の認識が、まだ浸透してないと思います。
性的同意については紅茶で喩えながらわかりやすく解説している動画「Tea Consent」があるので、それもおすすめです。
・あなたがお茶をいれたからといって、飲むかどうか決めるのは相手。
・最初、飲むと言っていても、途中で気が変わっていいし、途中でNOと言われたらそれを尊重しなければいけないよ。
・相手の意識がないときにお茶をいれてはだめだし、最初飲むと言っていても、途中で意識がなくなったらもちろん飲ませてはならないよ。
そんな内容が動画で語られています。嫌な人を無理に誘わないこと、自分の意思をちゃんと伝えることを教えていくことが重要です。
◆両親が対等な関係なのか、子どもは見ている
みたらし加奈(臨床心理士):私たち大人が思っているよりも、子どもは大人の関係性を見ています。たとえば両親がいるご家庭の場合、片方の親がどちらかを強くなじっていたり、小馬鹿にするような態度を見せたりしていると、子どもはそのパワーバランスをそのまま受け取ってしまうのです。そして、その不均衡な関係性を、自分自身に当てはめてしまうこともあります。
「自分もパートナーを強くなじってもいいんだ」とか「パートナーから強く言われても我慢しなきゃいけないんだ」というようなインプットになってしまうのです。
コミュニケーションのひとつひとつを子どもは敏感に察知しているので、日頃から保護者が、理不尽なことにNOと言えている姿、またそのNOが尊重されてる姿を見せてあげるのが、非常に大事だと思います。どうしてもそれが難しい場合、2人きりになったときに「本当なら尊重されるべきなんだよ」「あなたはNOと言っていいんだよ」と伝えるのも1つの手かなとは思います。