いつでもそばにいて守り続けるわけにもいかないけれど、性被害からはどうしたって守りたい。万が一、遭ってしまったとしても、適切にケアしたい。子どもには、自分の心と体が尊く、そして他の人の心と体も尊いこと、それぞれの尊厳を守ることの大切さを知っていてほしい。

そのためには、どんなふうに性教育を始めて、どんなふうに教えてゆけばよいのでしょうか。

◆子どもへのハグだって「やめて」1回でやめる

 私たちは、自分のNOに力があると思えているのでしょうか。

「同意を大切にしよう、してもらおう」、そう思えるためには、自分のNOに力があり、相手のNOを尊重することを経験しておかなければいけません。

母娘
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SHELLY(タレント):娘たちに「あなたのNOには力があるんだよ」と教えるために、「やめて」は絶対2回言わせませんし、「やめてって1回言われたらやめるんだよ」と教えています。

 たとえば、遊びでくすぐったりしますよね。そんなじゃれあいの中でも、子どもに「やめて」と言われたら絶対に、すぐに、やめます。子どもが「やめてって言っても大人はやめてくれないんだ」と感じたら、自分のNOには力がないと思わせてしまいます。

 NOを尊重する保護者の行動が、子どもにとってはいずれNOを言うときの自信になるんです。

「親ですらハグするときに同意を取ってくれたのに、何? この人」って感じられる心の種を、今植えているんですよね。

 私が若いとき、男の人に対してNOをあんまり言えなかったのは、「ここで嫌だと言ったら、あなたのことを嫌いって思ってると思われてしまう」と思ったから。だから、娘にはそれを伝えるコミュニケーション能力をプレゼントしたいんですよね。NOイコール嫌いではないということ。「あなたのことは本当に好きなんだよ。ただ、この行為は今はしたくない」と言葉で伝えるコミュニケーション能力をつけてあげることで、子どもを守りたいのです。