「収入の差が生活レベルの格差になる」と考えている人は少なくない。自分が働いている企業のレベルがすなわち収入の差となり、それが生活レベルを決定する要素は確かに事実だ。年収300万円、600万円、1000万円、3000万円では住居、趣味、付き合う人のレベルに差が出るだろう。
しかし、収入に差があるというのはあくまで「結果論」でしかなく、目を向けるべきは「なぜそのように収入に差が生まれるか?」という収入の差を生む「原因」のほうだろう。筆者が富裕層との付き合いから得られた知見は「お金持ちは質の高い情報にアクセスしており、情報の格差が貧富の差を生む」ということだ。
インターネットで検索しても出てこない情報
昔、デジタルデバイドという言葉が話題になった。デジタルデバイドとは、PCやスマホなどでネットを活用できる人と、まったくIT機器に触れることが出来ない人の間で大きな情報格差が生まれることを示したワードである。
私達は当たり前のように物事やニュースなどを多面的に見ることが出来る環境にある。しかし、ITインフラが十分でない国では、情報は一方的に受け取る立場でしかない事が多く、それ故に経済的な格差や貧しさの固定化が起きるという問題が起きている。
デジタルデバイドはITの活用可否が格差を生み出す話だが、お金持ちと一般人と分ける情報格差が先進国である日本にも存在する。お金持ちの人たちは、一般の人たちがアクセスできない情報をアクセスでき、それが貧富の差を生み出す一要素になっているということだ。
「今の時代、ネットで検索すれば何でも出てくるから情報の世界はフラットであるはずだ」という考えは誤りで、ネットで検索してもまったく出てこない情報というのはいくらでもある。お金持ちはそうした情報にアクセスできる人たちなのだ。
事実、筆者がこれまでビジネスのコンサルティングで教わってきたノウハウや、お金持ちのパーティーで聞いたビジネス話は検索してもまったく出てこない。情報の価値は「誰も知らないことを自分が知っている」ということにあるわけだから、多くの人が知らない情報を得ているだけで、ビジネスや投資の勝敗を分けてしまうほどの決定的な力を持つのだ。