2005年に公開された『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』というドキュメンタリー映画で、巨大電力会社の不正が描かれたことがありました。エンロンという会社は電気料金を吊り上げるためにカリフォルニアに大停電を起こしたり、むちゃくちゃな額の粉飾をやったりというひどい有様が明るみに出て倒産したわけですが、このドキュメンタリーは「主に誰が悪かったのか」という視点で作られたものでした。

 結果、みんながみんな「株価」という実体のない、なんの意志も持たない単なる数字に従って動いていたというラストは、露骨に資本主義社会の脆弱性を描き出しています。誰かの悪意や、誰かの欲よりも怖いものがある。誰もが気づかずに、そうしたものに付き従って動いていることがある。実際に、あった。

 フィクションとドキュメンタリー、神様と資本主義、このドラマとは真逆と言っていい映画でしたが、そういう匂いを今回の『全領域異常解決室』から感じました。

 あと、ずっと気になってる第1話のモザイクスプレーなんですが、あれはなんだったんだろう。ここまで見てきて、あんな変なポカをやるような脚本家とは思えないんだよな。もしかして、あれも何かの目的を持った何かだったのかもしれないと思うと、ちょっと背筋が寒くなりますね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)