2018年に一人出版社/ブックレーベルの八燿堂を開始し、「200年後の生態系と共存・共生する本づくり」を掲げ、文化的・環境的・地域経済的に持続可能な出版活動を模索している。
今回『sprout!』創刊にあたり、岡澤氏は、以下のようにコメントしている。
「私は2019年に東京から長野の山間の集落に移住し、2024年で移住6年目になります。この間に感じた長野の魅力と言えば、水や空気や食の『美味しさ』、77市町村という圧倒的で多様な『地域ごとの個性』、そして長野に住み活動する『人』と、人と人との『つながり』でした。
そんな魅力を伝えたくて、『sprout!』という本を創刊することにしました。県内で活動する市井の人たちの声を集め、隣の誰かに届けること。それがめぐって県内が元気になり、県外から関心を呼び、豊かになること。そんなことを思い描きながら、この本を始めました。
本誌では長期目標として、地域の森から紙をつくり、その紙から本をつくり、本を地域に流通させる、『本の地産地消』にも挑戦していきます。
県土の約8割を森が占める全国有数の森林県、長野。その大半となった手つかずの人工林を、本をつくる資源として利活用する。言わば、『本をつくればつくるほど森が豊かになる』という、環境再生型の出版のあり方を目指します。実現にはさまざまなステークホルダーの協力が必要です。ご興味持たれた方、ぜひお声がけください。」
創刊号の特集テーマは「長野 New Organic」
SDGsの流れもあり、近年普及し始めている「オーガニック」。特に長野県は、歴史的にも有機農業がさかんな地域だそう(※)。しかし、日本では農水相が認可する「有機JAS認証」がよく知られているが、実は農薬の使用を一部認めていることは、あまり知られていないという。
また、「化学肥料は使わないが除草剤は使う」など、農家によって農法が異なるため、消費者・生産者ともに「オーガニック」の捉え方が多義的かつ曖昧になっているのが実情のようだ。