人の嘘を見抜けるという能力を持った探偵助手・鹿乃子(松本穂香)と、貧乏探偵・左右馬(鈴鹿央士)のコンビが殺人事件を解決したり、その能力について悩んだりするドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)も第10話、こちらも最終回前となりました。

 今回は、山間の村から出てきたばかりで「クリスマスをやったことがない」という鹿乃子のために、近所のみんながサプライズパーティーを開いてあげるという心温まるお話でした。

 このドラマの舞台は昭和初期、そのころもクリスマスって盛り上がっていたのかなとちょっと検索してみたところ、「新宿帝都座うんこ撒き事件」なる文言が目に飛び込んでまいりました。盛り上がっていたどころか、狂乱だね。

 振り返りましょう。

■3つのエピソードで「嘘解き」を解く

 このドラマでは、鹿乃子の「嘘解き」の能力を活用して事件を解決する回と、鹿乃子自身がその能力と向き合いながら自身の運命を受け入れていく回が交互に放送されていますが、今回は後者でした。

 クリスマス会を巡る顛末のほかに、あと2つのエピソードが語られています。

 ひとつめは、鹿乃子が町中で遭遇したコソ泥少年の話。鹿乃子が探偵事務所のビラを貼って回っていると、逃亡中のコソ泥少年が目の前に現れます。背後からは「捕まえてくれ!」という声。やおらコソ泥の前に立ちはだかる鹿乃子でしたが、元来あまり運動神経のいいタイプではないので、あっさりと逃げられてしまいます。

 しかし、徐々に援軍が加わり、ついに追い詰められてしまう少年。聞けば、世話になっている主人の大切な本を野良犬が破いてしまい、それと同じものを買うために本屋に行ったが所持金が足りなかった。店主が奥に引っ込んでいる間に訪れた客から、店番のふりをして小銭をくすねたとのこと。

 まずは素直に、野良犬に破かれたと主人に言えばいいところですが、少年は「本当のことを言っても、どうせ信じてもらえない」とうつむいています。少年には、父親が物盗りで捕まったという過去があり、人に疑われ続けて生きてきたのでした。