しかし、周明との時間は長く続かなかった。

まひろは周明と共に、船越の津を目指す。かつての友・さわが暮らしていた松浦に向かうためだ。そこで、まひろたちを異国人らが襲う。

九州を中心に甚大な被害を与えたという「刀伊の入寇」だ。刀伊の入寇は1019年3月末から4月のできごと。このころの紫式部が何をしていたか、詳しい記録は残っていないという。万が一、巻き込まれている可能性がないとも言い切れない。亡くなった年自体も不明なので、このあたりはifの世界だろう。

その中で、ほんのりと好意を抱いていた男性と再会し、戦の中から逃げ惑う。ふたりで逃げ切ることができれば、また違う未来があったかもしれない。隆家らの軍勢も到着し、どうにか助かるのでは、という場面で周明の左胸に矢が突き刺さる。

そんなことがあっていいんですか????

転んだまひろに手を差し伸べた周明の左胸に矢が刺さるんですよ?

そんことがあっていいんですか!!

正直、観ながら「あああああ!」と声が出てしまった。

NHK『光る君へ』第46回
愛した人たちの死は辛い。せめて、穏やかな死であれ、と思う。

母の死、友・直秀の死、弟の死と、ひとりの人生には重すぎる死を体験した。夫に関しては亡くなってから知った。ここまでまひろに死を背負わせなくとも……。いや、まひろから、まひろを愛する人を奪わないでほしい、と思ってしまう。

◆双寿丸との再会

NHK『光る君へ』第46回
今回、双寿丸も刀伊との戦いで活躍を見せた。武者だから、戦いの場でこそイキイキとする身のこなしの軽やかさ、怖いもの知らずの真っすぐさ。終盤の物語の中で清涼剤のような存在だ。暗い表情が似合わない。

そんな中で、表情が動いたのが賢子(南沙良)の近況を聞いたときだった。女房として宮仕えをしていると聞き、「大人になったのだな……」と言う。

そう、明るさがありながら、双寿丸が何を考えているのか全くわからないのだ。賢子にとって初恋の人だし、恋人に近い関係だと思っていたように見える。親しそうにしていたし、双寿丸も賢子をかわいがっているように見えた。だが、「妹のような存在」という片思いしている女子としてはダメージが大きすぎる一言を残して立ち去った。