ドラマチックな再会を果たしたまひろ。道長に「ここらで違う人生を歩んでみたくなった」と言っていたが、それが叶うのか。
しかし、まひろにとって人生はとても苦いものだった。
◆こんな別れになるならば
大宰府で周明(松下洸平)と再会したまひろ(吉高由里子)。
そんな、こんなところで再会することありますか? 今からまた別の物語始まります? とテンションが上がってしまう。
まひろと目が合うと周明は背を向け、立ち去ろうとするがまひろが呼び止めた。ふたりは最後に会った日のことを話す。
そう、周明はまひろに「左大臣に文を書け」と脅していた。そのまま姿を消し、それきりだったのだ。
いまは通訳として働く周明の案内で政庁に訪れる。そこで双寿丸(伊藤健太郎)と再会、大宰権帥の隆家(竜星涼)とも会う。
道長(柄本佑)から「まひろを丁重にもてなし、旅の安全の図るようお達しがあった」と言う隆家。道長はどこまでもまひろファーストである。
歓待を受けるまひろだったが、隆家から道長が出家し、体の具合も良くないと聞き、動揺を隠せない。そんなまひろの変化を周明は見逃さない。
以前は、「まひろを利用する」という企みと、まひろへの好意の間で揺れていた周明だが、今回は「好意」に完全に傾いていた。少しばかり、わざとらしさが覗いていた以前の周明と比べ、本音の言葉は温かく、鋭い。
道長への気持ちもストレートに問うし、だからこそ、まひろも自分の気持ちを素直に話せる。
「書くことしかない」というまひろ。好きなものを書けばいいではないかと思うが、道長が書く機会を与えてくれた。だからこそ書けた。しかし、もうその居場所はないのだ。
確かに、亡くなった大切な者たちのゆかりの場所を訪れる姿はどこか今世に別れを告げているようにも見える。周明はそれを感じ取ったのかもしれない。「紙と筆と墨があればどこででも書ける」と優しく言う。俺の物語を書くのはどうだ、と冗談めかして言ったあと、まひろ自身に起きた出来事を書くのだっていい。少しずつ、表情が明るくなっていくまひろ。もしかすると、ここ数回で一番穏やかな笑顔だったかもしれない。