ジャーナリスト・評論家の故・立花隆氏は2006年に刊行した著書『滅びゆく国家 日本はどこへ向かうのか』(日経BP社)の中で、興味深い考察をしています。

 長い長い歴史を持つ皇室ですが、実は嫡出子より、庶子(正室ではない女性から生まれた子)のほうがずっと多いそうです。明治天皇は9人の側室を持ち、生まれた男子は1人だけでした。その男子が大正天皇になったわけです。明治天皇も父・孝明天皇の側室の子どもでした。

 昭和、平成、令和と3代にわたって皇后との間に生まれた第一皇男子が皇位に就いていますが、皇室の歴史から見ると逆に珍しいケースのようです。戦後からは皇室も「一夫一妻制」となっており、男系の血統を今後も守っていくのは生物学的にかなり難しいと予測されています。

 男系維持論者たちは「男系の天皇たちは、神武天皇と同一のY染色体を伝えてきた」ことに「万世一系」の価値があると主張しています。これに対する立花氏の考えはかなりユニークです。皇室の祖神とされる天照大神のミトコンドリアは、女性にしか伝えられないもの。女性天皇容認論者は、そのことを訴えればいいと記しています。天照大神のミトコンドリアのほうが、神武天皇のY染色体よりもはるかに貴いのでないかという理屈です。

 宮崎駿プロデュースによる劇場アニメ『耳をすませば』(1995年)で、小説家志望の主人公・月島雫の父親役にジブリ独自の“有識者枠”で抜擢されただけあって、さすが考えることが違うなぁと思った次第です。

 エルサたちは封印されていた王室の驚くべき秘密を知り、自分らのやるべき使命を自覚することになります。皇室関係者はどんな気持ちで、『アナ雪』シリーズをご覧になっているのでしょうか。ハリウッドで起きた脚本家や俳優たちの大規模ストライキの影響で制作が遅れた『アナ雪3』『アナ雪4』の行方とともに、気になるところです。