続編は自分の個性を受け入れたエルサが、両親や祖父にまつわる秘密を知り、自身のアイデンティティーを確立するという、よりディープな物語となっていきます。
北欧に言い伝えられる妖精トロールが前作に続いて登場しますが、今回は北欧の先住民族である「サーミ人」がフィーチャーされています。サーミ人は差別され、迫害されてきた歴史がありますが、古くから伝わるサーミ人の精霊信仰が『アナ雪2』の大きなモチーフとなっています。
文化の多様性を積極的に取り上げるようになった、近年のディズニーアニメらしい物語だと言えそうです。大地の精霊・アースジャイアントが、東映アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)に登場する岩男・モーグっぽいビジュアルになっており、日本のアニメからの影響も感じさせます。
国連が改正を求めてきた皇室の伝統
当時はまだ皇族だった眞子さまが、妹の佳子さまと一緒に『アナ雪2』を鑑賞したのは、2019年の12月でした。眞子さまが結婚してNYへと去った今では、ずいぶん昔のことのように感じられます。日本の皇室は、今世紀に入ってからずっと後継問題で揺れ動いています。女性天皇、女系天皇を認めるかどうかで、容認派と反対派とで意見が相容れない状態が続いています。
現在の天皇にはひとり娘の愛子さまがいるわけですが、皇位継承権は弟の秋篠宮皇嗣殿下、次いで秋篠宮家の長男・悠仁さまとなっています。女性である愛子さまには皇位継承権は認められていません。これは皇室に関する法律「皇室典範」で「皇統に属する男系の男子」のみに皇位継承権があると定められているからです。国連の女性差別撤廃委員会が「男女平等な皇位継承を」と勧告してきたことでも注目を集めました。
女性天皇は、飛鳥時代の推古天皇をはじめ、日本の歴史上これまで8人誕生しています。女性天皇を認めない人たちは、女性天皇は女系天皇につながり、皇室の歴史を変えてしまうことを懸念しているようです。女系天皇を認めると、神武天皇から男子に脈々と受け継がれる「Y染色体」が途絶えてしまうというのが大きな反対理由となっています。