残酷すぎず、誰でも観やすい感動作
今作はナチス映画・戦争映画として苦難を見せる作品としては、意外と“優しめ”の作品だ。もちろん苦しく辛いシーンはあるが、いわゆる“胸糞映画”といった作風ではなく、救いや楽しみ、(もはや奇跡めいた)勧善懲悪的な要素もところどころ存在する。
これは、筆者のような「刺してくる映画にはとことん刺されたい」派の観客からすれば、どこか“甘い”“ご都合主義”のように感じる部分かもしれない。しかし、今作が伝えたいこと-親切心を思い出させたいというメッセージ-を考えれば、それで正解なのだと感じる。あまりに重苦しい映画は、観る層を選ぶ。今作のように誰もに観てほしい作品には、ある程度の救いは必要だろう。「ヘイトが渦巻くこの時代に必要とされているのはきっとこういう映画だ」と確信させる1本だった。(文:ヨダセア)
映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』は12月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー。
『ホワイトバード はじまりのワンダー』作品情報
タイトル:『ホワイトバード はじまりのワンダー』
原題:『White Bird』
監督:マーク・フォースター(『ネバーランド』『オットーという男』)
脚本:マーク・ボムバック、R.J.パラシオ
出演:アリエラ・グレイザー、オーランド・シュワート、ブライス・ガイザー、ジリアン・アンダーソン、ヘレン・ミレン
2024年|アメリカ|英語・仏語|121分|カラー|スコープ|5.1ch|字幕翻訳:稲田嵯裕里|映倫区分:G
配給:キノフィルムズ
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