要するに作り手が「ギャル魂」を咀嚼せずに記号だけで処理してきたから、「派手な色の薄着」「プリクラ撮る」「アゲーって言う」くらいしか結のギャルを表現できないんだろうな。お仕着せ感がすごい。基本ギャル好きだからあんまり言いたくなかったけど、ギャル設定を外して「震災のトラウマでずっとうじうじしてた女の子が、神戸に来て徐々に心を開きながら栄養士として独り立ちしていく」という筋のほうがずっとスムーズだわ、これなら。
■あとはナベさんね
ナベさん今日もしんどかったですねえ。そもそもアーケードに反対していたのが「金もかかるし活気も戻らん」って、理由にもなってない。この人、マキちゃんに「賛成派の米田の娘と遊ぶな」とまで言ってましたよね。
「アーケードなんて金もかかるし活気も戻らんから、賛成派の米田のアユちゃんとは遊ぶな」って、そうとうしんどいよな。
でも今回はそれ以上に、米田家のおせっかいがしんどかったです。デコ靴を作らせようとするアユ(仲里依紗)、仕事をさせようとする米田パパ(北村有起哉)、そのおせっかいは、これもドラマがさんざん言ってきた「困った人を助けるのは米田家の呪い」ってやつが作用しての行動なんでしょうけど、ナベさん別に困ってないからな。傷ついて落ち込んで寂しがってるだけだからな。
そういう人に上から目線で「あれをやれ」「これをやれ」って言って無理やり仕事を押し付けて奮い立たせようとするのは、これはもう乱暴すぎるんですよ。暴力ですよ。文字通りの「呪い」ですよ。
今のナベさんに何かしてやりたいと思うなら、まずは話を聞いてやんなさい。「今年の夏はひときわ暑いね」とかから始まって、徐々に「普段は食事どうしてるの?」とか、少しずつ立ち入って、ナベさんが自分からマキちゃんのことを話し始めるまで、あとは待つんですよ。12年、心を閉ざしてきたんだ。ほっとけないなら、時間をかけて話を聞いてやることからでしょう。それで、「今はこんなことで困ってる」ってナベさんが言ったら、そこで初めてナベさんに対する「人助け」が始まるんだよ。
根本的に優しくないんだよな、米田家。気味が悪いよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)