思い出してほしいわけですよ。このドラマが最初に提示した「ギャル魂」というのは、自分が大切にしているハギャレンのために、結を誘いに来たルーリー(みりちゃむ)の姿だったはずなんです。どれだけ結が拒否しても「関係なくねー? アゲ~♪」って、何度も、絶対にあきらめないで、明るくポジティブに目的に向かって全力で走っている姿。それを、このドラマ自体が「これがギャルです」と提示しているわけです。

 ルーリーだって家庭に問題を抱えていたけれど、普段のギャル活の中で「ママが仕事で東京に行っちゃって晩飯代1万円置いていって……(ぼんやり)」なんて考えながらボーっとしていることはなかった。それよりもみんなで楽しくポジティブに過ごす時間を大切にしていた。このドラマがそういうキャラクターを「ギャル」だと言っていた。

 神戸に来てからの結という人が、「栄養士の勉強」という時間を大切にしている感じがしないんですよね。みんなが炊き出しについての注意点をまとめてくれなければ味の濃淡についての悩みは解決していないし、サッチンが「献立考えて」と言わなければ、ずっと「パン屋とナベさんを仲直りさせたいなぁ……(ぼんやり)」とか考えながら目線を宙に泳がせていただけだった。まったく「自分が好きなことは貫け」というギャルの掟にそぐわない行動をしている。あるいは、まあこれはそもそも疑問だったんだけれども、栄養士の勉強が別に好きじゃないんじゃないかと思ってしまう。

 今回、結が6歳のときに避難所でおむすびを食べて「冷たい、チンして」と言ったことを後悔しているからホカホカのおむすびを出したいという話があって、これについては「覚えてないって2、3日前に言ってたぞ」とか「おむすびってそもそも冷めてる状態で食うもんだろ」とか何重ものツッコミを入れたくなる場面だったんですが、それより栄養士の勉強そのものや炊き出し隊長としての責任感、この機会に対する情熱のなさが、ドラマが提示したはずの「ギャル魂」と大きく矛盾していることが感じられた回でした。