時系列一覧表とか作ってないのかな、と思うわけですよ。

 今回描かれたのは、以下のようなシーンです。

 震災から7日後、糸島から神戸に永吉おじいちゃん(松平健)がやってきて、それから毎日、どこかから食料をかき集めてきて避難所に届けていた。それによって、みんなとっても助かった。そういういい話でした。それだけならいい話なんです。

 震災から5日後、糸島から神戸に永吉おじいちゃんがやってきて、すぐに一家で糸島に引っ越すよう家族に進言した。避難所の人たちも、それを後押しした。それから2日後、パパの聖人(北村有起哉)を神戸に残して、一家は糸島に引っ越した。それが、過去に語られたエピソードでした。

 念のためですが、同じNHK連続テレビ小説『おむすび』での話です。何これ、「エンドレスエイト」なの? 震災からの1週間を何度もやり直してるの? 時間の渦から抜け出すことを目的としたドラマなの?

 せめてこの数日間だけでも、震災からの1週間ですよ、それを体験した全員にとって人生でもっとも濃密な時間だったはずなんですよ。その数日間に何をして、何を考えて、何を感じて、その1週間から物語が始まっているわけですから、そこは整理しておきましょうよ。

 なんかあちこちのインタビューでNHKの制作統括の人が震災についても専門学校についても「すごい綿密に取材した」ってアピールしまくってますけど、だからなんだよ、こんなことやってたら意味ないじゃんって思っちゃうよ。

 たぶんね、取材の中で、避難所に家族が迎えに来て、すぐに遠方に引っ越した家族があったんでしょう。そのときに、市役所の人に「仮設はいっぱいになるから、帰る場所がある人は引っ越してもらったほうが助かる」って言われたという、そういうエピソードがあったんでしょうね。

 一方で、田舎から親族が駆けつけてくれて、食材の確保に駆けずり回ってくれてすごく助かったというエピソードがあったのかもしれない。その人のおかげで、みんなが元気を取り戻したんですよ、なんて、当時の被災者が遠い目で語ってくれたのでしょう。