まあ要するに、「クズに沼る女子」というトレンドから始まった企画なんだと思うんですよね。アラサーのトホホな女子がクズに沼る、そういうドラマを作りましょう。沼ってる女の子に目覚めを与えましょう。トホホの対極にありそうなのが格闘技じゃない? なんかブレイキングダウンとか人気あるんでしょ? もっとストイックなイメージがいいよね、じゃボクシングにしようか。

 クズ側も単にクズだと面白くないから、バックグラウンドが欲しいよね。やっぱ悲劇だよね。ボクシング関係の悲劇だよね。人を殺したことにしよう。

 印象としては、たぶん海里とほこ美のエピソード半々で「共に成長していく」みたいなものを意図していたと思うんですよね。海里には悟という摩擦要素を置いて、ほこ美には撫ちゃん(玉井詩織)を置いて、優しいアテ馬に大葉さん(小関裕太)を置いてと、わりとテンプレートに沿ったわかりやすい作品を目指していたんだと思う。

 それが、キャラクターを掘ってみたら2人のエピソードの厚みに差がありすぎて、結果、玉森エピばかりになっちゃった。そんな感じ。

 ボクシングで悲劇を設定しようというところで「殺した」さえ持ってこなければ、もっとライトで楽しいものになった気がするんだよな。例えば網膜剥離で引退を余儀なくされて、片目の視力が極端に落ちた元ボクサーがカメラマンを目指すとかさ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)