それでも海里くんは写真賞で新人賞を受けるなど、前途洋々。それが気に食わない悟は授賞式に現れ、自分が平山大地(大東駿介)の弟であることを告げます。
かつて、海里とプロボクシングの試合で対戦し、試合後に不幸にも亡くなってしまった平山大地。悟はその恨みから海里に近づき、ボロボロのクズになった海里を観察していたのでした。
「許せない」
「あんたが死ねばよかったのに」
悟は、兄を殺した海里が前を向いたことをどうしても許せず、いろいろ壊しにかかっていたのでした。
その悟の思いをぶつけられた海里くんは家に帰ると、カメラとか写真とかを整理し始め、ほこ美のために買ってきて渡せていなかったネックレスを持って、ほこ美の病室を訪れます。そして「ごめんね」と言って去っていき、なんかトンネルみたいなところで泣き崩れるのでした。
次回は最終回。第1回の冒頭でほこ美がプロのリングに立ち、海里がカメラを持って駆けつけるシーンがありました。思えばあのときから、悲劇のヒーロー然としていたよね、海里くん。
■「ファンなら」という評価
玉森裕太がガチもんの妖艶極まるセクシークズとして登場し、ほこ美と出会って少しずつ感動を取り戻し、いよいよ泣き崩れ、夢に向かって前を向き、それでも過去の傷にとらわれて再び闇堕ちしようとしている。
そういう視点で、なんだっけ「俺足族」か、俺足族的なところから眺めていると、実に玉森のバリエーションを楽しめる作品になっていると思います。玉森ファンにとっては、今まで見たドラマの中で一番好き、となってもいいくらい玉森の魅力が爆発しています。
一方で、冒頭でも書きましたが、このドラマはボクシングファンにも目配せしているんですよね。個人的にはそっちの立場なので、リング禍による死亡事故を「殺した」と表現し、遺族が相手選手を恨んで復讐しているというストーリーが根底にある作品を愛せるわけがありません。シンプルに、平山大地はそれを望んでいますか? と思ってしまうし、競技と暴力を混同する描き方は誤解を招くし、スパー練習におけるルールとマナーに対する意識が極めて低く、安全管理を怠っている指導者を普通に登場させているのもよくないし、何より「試合後に事故で相手が死ぬと、一生許されない」という誤った価値観を流布するのは本当にやめていただきたいんです。なぜなら、今後もそういう事故が起こる可能性があるから。全国放送の生中継でそういうことが起こる可能性もあるから。ほんとやめて。