音楽も非常に特徴的でした。音楽についてのこだわりを教えてください。
ハウスナー:今作で私は初めて作曲家マーカス・ビンダーと仕事をしました。総合的なミュージシャンで、シンガーでもある彼ですが、特に彼の造詣が深いのはドラムスです。今作のスコアでもドラムスが大きな役割を担っています。キャラクターのセリフの途中でも印象的な飛び込み方をしてくるので、ぜひドラムスの活躍には注目してみてください。
ハウスナー:すべての編集過程においても音楽は重要です。音楽は映像にリズムを与えるので、音楽をこのように使う映画はある意味どれもミュージック・フィルム(音楽映画)だとさえいえますよね。
ラストシーンはなんとなく「最後の晩餐」のように見えたのですが、絵画的なカットを意識しているのでしょうか。ラストカットに込めた思いを語っていただけますか。
ハウスナー:構図を「最後の晩餐」に似せただけでなく、終盤には「きよしこの夜」(Silent Night, Holy Night)を想起させるメロディーも流しています。この曲はクリスマス・ソングというイメージがありますが、そもそも“キリスト教の歌”ですよね。今作では我々の人生を形成する考え方・価値観が、宗教やイデオロギーに支配されていることを示したつもりです。キリスト教に限らず、ほかの宗教や急進的な思想もそうですが、一定の思想・イデオロギーに私たちは操られているのです。
最後にこの映画を観る日本のオーディエンスに一言メッセージをお願いします!
ハウスナー:この世界全体に普遍的といえる作品なので、日本の皆さんも自分ごととして考えることができると思います。大事なことなのでもう一度言いますが、この映画に正解はありません。みなさんに解釈・考えは委ねています。自由に思いをはせてください!
(インタビュー以上/取材・文:ヨダセア)
『クラブゼロ』は12月6日(金)より新宿武蔵野館ほかにて全国公開。