日本では激しいルッキズムや、誰でもソーシャルメディアでは顔写真を加工して美しくできるようになったことなどを背景とする過剰な美容整形や拒食症といった問題はたびたび話題に上がります。これはあなたの国オーストリアでも同じシチュエーションといえますか。
ハウスナー:はい、そう思います。若者がソーシャルメディアやニセ情報から影響を受けやすいことを示した調査もあります。いわゆる“古典的な情報ソース”-新聞やテレビの報道などから情報を得る人々に比べて、ソーシャルメディアから情報を得る人々はニセ情報に強い影響をより受けやすいとされているのです。ソーシャルメディアでは、すでに誰かの意見が乗って複雑化されたダイジェストのニュースを受け取ることが多いですよね。それが真実か虚偽か、正しいか誤りかも分かりづらいのです。この状況がどうしたら解決するかは私にもわかりませんが、重要な課題であり、興味深い問題です。
美術や音楽、撮影へのこだわり「我々は支配されている」
映画に登場する家々の、非常に洗練されたインテリアも印象的でした。撮影セットやプロダクションデザインについて、あなたはどのようなところにこだわりましたか。
ハウスナー:美術や衣装は私の映画をどこか人工的なスタイルにしてくれます。映画を作るとき、私がまずプロトタイプやアーキタイプを考えて、どのように物語を見せたいかというシステムを作り、チームが向かうべき傾向を示します。デザイナーはそれを具現化して、明瞭にしてくれます。そうして特徴的なファッションにユーモアや皮肉を託して、誇張しているのです。