結婚した際も、妻とは連絡先を交換させなかった。

ライオマルチ2世沼202411
「『料理習いに来ない?』とか言って、妻を誘うのがもう目に浮かびますよ。それって間違いなく、勧誘までがワンセットですからね。母から妻には、必ず自分を通して連絡してもらうようにしています」

誘われても、失礼のないよう断ればいいだけでは?と思う人もいるだろうか。そうはいかないのが、マルチ沼。

単なるものの売買と異なり、断ったが最後、勧誘者は自分の存在を否定されたかのようにとらえ、敵認定してくるケースが多々報告されている。極端な白黒思考である。

「母は、父方の祖父母ともそれで険悪になってるんです。僕が物心ついたときから、母は祖父母の悪口を言っていた印象があるんですが、かつては良好な関係を築いていたそうです。

ところがあるとき、母がマルチの空気清浄器をすすめ、祖父母がそれを断った。そこから、急に毛嫌いするようになったようです。しかし当時はそんなこと知る由もありませんでした」

ライオマルチ2世沼202411
ライオさんの学生時代、やはりマルチがきっかけで両親は離婚した。

「父が無職になった時期があり、母が一緒に活動しようと連れまわしたんですよね。でも父はハマらず、そこから修復不可能になり、離婚となりました」

ライオさんの母には金銭トラブルもあり(これはまた次の回であらためて)、現在は母と一定の距離を保った付き合いを死守している。

◆わが子の人生は、二の次

「それでもちょくちょくLINEが届きますが、3回に1回はマルチの話。栄養は大事だ、という動画のシェアや、マルチ仲間のグループLINEで共有されたであろう、よくわからない格言みたいなものも転送されてきます」

息子の就職や結婚、子どもの誕生という人生の大きな節目にも、母のマルチ語りはとまらない。

ライオマルチ2世沼202411
「手紙もLINEも、正直いつも何を言ってるのか、さっぱり理解できません。ナントカにいつもよくしてもらってるとか、自分がどれだけがんばって活動しているかとか、健康がいかに大切かとか。マルチ食品を使った手書きレシピがついていることもあります。