この物語は結ちゃんと翔也(佐野勇斗)が出会い、互いに惹かれ合ったことから栄養士を目指しているというお話です。その結ちゃんと翔也の距離が縮まるきっかけになったのが、震災の日の話でした。
あのとき結ちゃんは「あの日から時が止まっている」と言いました。1995年1月17日から、笑えなくなった。姉のアユ(仲里依紗)に対して、「マキちゃんのことも私だって悲しい」と食って掛かったこともあった。
あのへんの結ちゃんの心象描写って、すごく唐突な感じがしてたんですよね。今回、結ちゃんが言った「ほとんど覚えてない」のほうが、実際のところしっくりくる。
震災当日を描いた場面、今回も少し回想がありましたが、結ちゃんは状況をまるでわかっていませんでした。冷めたおむすびは「チンして」と言うし、確か「明日は保育園休みだ」って喜んでたような場面もあったし、マキちゃんが死んだことをナベさん(緒形直人)がみんなに告げたシーンでは、アユはリアクションしていたけど結ちゃんは画面に映ってすらいなかった。
「悲しいとき」のフォーカスが合ってないんです。神戸に来てからも時おりフラッシュバックしてるみたいな顔を見せる結ちゃんですが、何が悲しかったのか、いまいち伝わってこない。「おむすびが冷たかったときー!」と言っても、「マキちゃんが死んだときー!」と言っても、「全壊した家を見たときー!」と言っても、見ている側としては「そうだっけ? そんなに悲しんでたっけ?」と戸惑うしかない。ほとんど覚えてないなら、ほとんど覚えてない人として糸島編を描くべきだったのに、めちゃくちゃトラウマに囚われて震災が人格形成に大きな影響を及ぼした人物として描いてしまったから、実際に神戸に来たらあちこちに矛盾が発生している。というか、脚本のウソがバレている。
今週も残念ながら、月曜日から失敗しているなぁという感触で始まりました。金曜には丸く収まるから別にいいけどな。