食品スーパーに関する疑問や消費者が知らない裏側を、創業105年にあたる2017年に倒産した老舗スーパー「やまと」の元3代目社長で『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)の著者・小林久氏に解説してもらいます。今回は「現金払いしかダメなスーパーと、電子マネー・タッチ決済OKの店の違い」について明かします。
目次
・スーパーマーケット、現金払いの店が値引きできるワケ
・【ロピア】現金払いのみ、【OKストア】現金払いは3%割引の背景
・スーパー独自の電子マネーカードに“罠”?
・スーパーが、ある意味“客を選び”低価格を実現している
スーパーマーケット、現金払いの店が値引きできるワケ
コロナ禍以降、スーパーや小売店でのキャッシュレス決済が一気に普及しました。小銭入れどころか財布を持ち歩くことすら面倒になった人も多いのではないでしょうか?
しかし、この便利な「キャッシュレス決済」、スーパーや小売店にとっては、両手を挙げて賛成とも言い難い事情があります。
一般的なスーパーの粗利益率は20〜30%、ディスカウント店なら10〜20%といわれる中、カード会社に払う1%から5%の手数料は、丸々利益を削る大きなコストです。一日100万円のカード決済があれば、1〜5万円の利益がその手数料に消えていきます。
極端な話、店は現金管理の煩雑さを除けば、お客様全員が「現金払い」してくれたほうがありがたいと思っているでしょう。
カード払いは多様化した決済方法に対応するサービスの一つですが、そのコストとしての手数料は非常に高くつきます。皆さんが必死に貯めているVポイントや楽天ポイントといったポイントの原資は、元々店がカード会社に払った手数料の中から捻出されていますが、それで店がお客様に感謝されることはありません。
それなら現金払いのお客様に対して、カード決済の手数料分くらい値引きしても計算は合う、と考えて、そうしたスーパーが出てくるのも自然なことだと思います。