「神戸に暮らす人らの心の復興はまだ遅れとるんですわ」という市役所の人の言葉を具現化した人物ってことなんだろうけど、その役割をナベさん1人に背負わせすぎたことでキャラクター造形に失敗したということなんでしょう。「神戸に暮らす人ら」って言ってるんだから、その「人ら」みんなにちょっとずつ「今でも傷が癒えていない」という描写があって、特にナベさんがキツイという話なら納得できるんですが、ここまで描かれた限りで判断すると、このドラマの中で震災を一番引きずっているのはナベさんで、2番目が結ちゃんになってしまっている。むしろ「ナベ以外の心の復興は完了済みです」と、ドラマ自体がそう主張してしまっているんです。だから、ナベさんだけが悪目立ちする。市役所の人の言葉とドラマの描写に矛盾が発生している。また視聴者に行間を読むことを強いている。甘えている。
またどうせ来週以降に「みんなの傷も癒えてないよ」とやるんでしょうけど、この全部後回しにする手癖はどうにかならないのかね。この「後でやるから待っとけ」っていうスタンス、これこそ『おむすび』というドラマの最大の甘えだと思うよ。簡単に次も見てもらえると思うなよ。当たり前じゃないからな。
第9週、「支えるって何なん?」の答えは「支える相手の体重を把握しましょう」ということで一応の結論を見ました。そして、関口メンディーのフィジカルだけが異様な説得力を放っているのでした。
(文=どらまっ子AKIちゃん)