ドラマを愛せるかどうかというのは、その登場人物を信頼できるかどうかから始まると思うんですよね。この人の話をもっと聞いてみたい、この人の過去をもっと知りたい、この人の行く末を追いかけたい。そういう気持ちの前提として、まず信じるに足る人物であるかどうか、言っていることに一貫性があるかどうか、真剣であるべき場面で真剣になれるかどうか、ごまかしていないか、ウソをついていないか、手を抜いていないか、必要以上に他人に甘えていないか、そういうひとつひとつの積み重ねによって視聴者の信頼を得ていく作業というのが、ドラマを作る人がまず考えるべきことだと思うわけです。
信頼できない人とは距離を取りたくなるし、見放したくなるものです。それは実生活でも、ドラマでも同じです。
NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』も第9週「支えるって何なん?」が終わりました。今週は主にナベさん(緒形直人)とサッチン(山本舞香)がプリプリと邪気を振りまいていましたが、2人とも少しは元気になったようでよかったです。
「金曜に説明するから、ちょっと待ってて!」
このドラマはずっと、そういう作劇をしているんですよね。金曜にいい感じに回収すれば、月曜から木曜まではどれだけ視聴者に不快な思いをさせてもいいと思ってる。すごく視聴者に対して、必要以上に甘えていると感じます。
第45回、振り返りましょう。
■サッチン、おまえもか
いつになくよくしゃべったサッチン。高校時代に陸上部の顧問が厳しくて、疲労骨折したり摂食障害になったりと、いろいろ大変だったようです。その経験から、つらい思いをするアスリートたちの力になりたいと思って栄養士を目指した。誰よりも勉強しているという自負もあるし、自分がいちばん理解しているという自信もある。
それはいい。
前回、翔也(佐野勇斗)に渡していた献立が圧倒的なカロリー不足であることに気付いた結ちゃん(橋本環奈)、学校に早く来て献立の見直しをしています。