前回、ずっと好きだった冬月にフラれてしまったリサは、気持ちの整理をつけるために会社を辞めることを決意。アフリカで、自分が冬月を独占するために「死んだ」とウソを言ったことを、ようやく冬月に謝罪しました。この会社の社名、あんまり注意して見てなかったけど「tri ambition」っていうんですね。「3つの野望」。冬月とリサと、死んだ下原と、3人の野望を実現するための会社だったんだ。やっぱり小さい組織ってのは、恋愛が絡むと脆いね。どうやら彼らのアンビションはバラバラになってしまいそうです。
ミワさんは病気で死期の迫ったママ(多岐川裕美)に「栞はヒロキの子じゃないの」と告白。「ヒロキも栞も苦しめることになった」と涙ながらに懺悔します。言葉を失い、ミワさんを抱きしめるしかないママ。「ごめんなさい」と声を絞り出すミワさんに、ママも「私こそ、悪い母親ね。ミワを𠮟れない……」と涙に暮れるのでした。
ママがもう長くないことをマコトから聞かされたヒロキは、栞を連れてママの病室を訪れます。このヒロキの行動は誠意や真心というより、ヒロキの中に長年染み付いてきた「外面をキープする」という慣習によるものでしょう。余命の迫ったご老人がいるなら、孫の顔を見せてやるべきである。慣習はときに感情を超える。前回も言ったけど、このドラマが人間が描けていると感じさせるのは、こういうシーンなんです。
ママとしては「うちのミワがバカなことして本当にごめんなさい」と全力で謝りたいところでしょうが、ここは知らないふりをするしかありません。ここの入院費もヒロキの金だし、ママの心境は察するに余りあります。おそらくは人生最大の気疲れだったことでしょう。間もなくママは召されることになりました。
■懺悔の先に、さらなる地獄が待っている
そうしてみんないろいろ整理がついて、懺悔したからには前に進むしかありません。
栞が自分の血を引いた子どもであることを知らない冬月は、ミワさんへの決別の手紙をマコトに託します。マコトはミワさんがそれを読むに値するかどうかを査定した上で、その手紙をミワに手渡します。