王位後継者として生まれたエルサは、手に触れたものをすべて凍らせてしまうという魔法の力を待っていました。成人したエルサは他の人とは違う能力を使うことを恐れ、氷の宮殿に閉じこもってしまいます。
評論家・コラムニストの中森明夫氏が「雪の女王とは何か?」というテーマで「外務省の有能なキャリア官僚だった」雅子妃が「皇太子妃となって、職業的能力を封じられ」たことを思い浮かべたという原稿を書いたところ、執筆を依頼した「中央公論」(中央公論新社)から掲載拒否されるという騒ぎも2014年には起きています。
現実社会の問題と結びつけて、さまざまな解釈ができるところもファンタジーアニメの面白さでしょう。
ミュージカル女優として高かった評価
歌手・松田聖子と俳優・神田正輝のひとり娘として生まれた神田沙也加さんはSAYAKAとしての歌手デビュー時こそ「二世タレント」として騒がれたものの、ミュージカル『レ・ミゼラブル』や『ピーターパン』などで着実に舞台キャリアを重ねました。ミュージカル女優としての評価を高めた上での、『アナ雪』への抜擢でした。
2014年の暮れには、国民的番組『NHK紅白歌合戦』に神田沙也加さんは選出され、『アナ雪』のナンバー「生まれてはじめて」を歌っています。2011年の『紅白』初出場は松田聖子との親子共演でしたが、2回目の出演は神田沙也加さんが自分の力でつかんだ単独出演でした。まるで親戚の女の子の成長ぶりを応援するような、ほっこりした気持ちで『紅白』を見ていた視聴者もいたんじゃないでしょうか。
神田沙也加さんのミュージカル女優としてのデビューは、2004年に上演された宮本亜門演出の舞台『INTO THE WOODS』の赤ずきん役でした。出演者オーディションの際、宮本亜門は参加者のプロフィールには目を触れないようにして、選考したそうです。当時17歳だった神田沙也加さんと初めて会った宮本亜門は、彼女の明るく通る歌声と豊かな感受性に魅了されたと振り返っています。