2014年のNISA制度開始時からNISAを利用している人の中には「NISAのロールオーバー」について気になっている人もいるだろう。NISA口座で5年間保有している有価証券の非課税期間を延長することで、このロールオーバーの手続きが行われるのは、2019年が初めて。そのため手続きについて不安を抱えている人も多いはずだ。
ロールオーバーとは?
ロールオーバーとは、NISA口座で保有している有価証券の非課税期間を延長させることである。
NISA口座で保有している有価証券の非課税期間は通常5年間だ。しかし、所定の手続きを行いNISA口座で保有している有価証券を翌年のNISA枠に移すことにより、非課税期間を最大10年まで延長させることができる。
ロールオーバーの手続きは任意なので、投資家それぞれの判断で手続きをするかしないかを決める必要がある。
ロールオーバーのメリット・デメリット
ロールオーバーの最大のメリットは、「非課税期間を延長できる」ことである。非課税期間を延長することで、NISA口座で保有している株式の配当金や投資信託の分配金を非課税で受け取ることができる。
これにより、NISA制度の複利効果を最大限に享受できることが期待できる。
また、ロールオーバーはNISA枠の上限である120万円を超えて行うことができる。つまり、14年に100万円で購入したNISA口座の株式が18年に150万円まで値上がりした場合でも、19年のNISA口座へロールオーバーすることは可能だ。つまり、NISA枠の上限を超えて非課税の恩恵を受けることができるのである。
一方で、手続きした翌年のNISA枠を消費するというデメリットがある。また自ずと手続きした翌年のつみたてNISAが利用できなくなるデメリットもある。
ロールオーバー手続きが必要な人
2014年にNISA口座で購入した有価証券の非課税期間を5年間延長したい場合は、2018年のうちにロールオーバーの手続きが必要である。
ただし、その翌年のNISA枠がロールオーバーした金額分だけ減額されてしまう。
「2014年にNISA口座で購入した有価証券をロールオーバーした場合、どのくらいの19年のNISA枠を消費するのか」は、ロールオーバーする有価証券の18年末の評価額によって決まる。14年にNISA口座で買い付けた有価証券の取得価格は引き継がれないことになる。
例えば14年に50万円で購入し、18年末に100万円まで値上がりした株式をロールオーバーする場合は、19年のNISA枠は100万円分が減額され、残り20万円分のNISA枠を利用して新たに有価証券を買うことができる。
ちなみに、14年に50万円で購入した株式が18年末に150万円まで値上がりした場合、つまり年末の評価額がNISA枠の120万円を超えている場合はどうなるのだろうか。
このケースだと、19年のNISA枠を全額分消費してロールオーバーをすることになり、その年は新たにNISA口座で有価証券を購入することができなくなる。