「まさか、準々決勝で、やっちゃダメですよ!」

 それが3人の総意だった。

 パンプキンポテトフライも同様に、「谷もね、あんなのやるわけないでしょって言ってたんだよね」(川北)というド下ネタだが、「やっていく中で、仕上がってしまったんだろうね」(同)と語り、真空ジェシカの伝説的下ネタ「吉住」と比較して、「ああなっていたかもしれない」と震え上がっていた。

「仕上がってしまう危険がある」

 それは、実際に『M-1』を戦っている漫才師にしかわからない感覚だろう。舞台の下から見ていれば「もっといいネタあるだろう」と感じても、実際、本人たちの感覚はまるで別なのかもしれない。

 例えば2009年『M-1』決勝、ファーストステージで「鳥人」を披露し、審査員・島田紳助から100点を引き出した直後、誰もが目を疑った笑い飯の2本目のように。

(文=新越谷ノリヲ)