これまでであれば、ネット配信では比較的コアな内容のものが人気になりやすい傾向があった。しかし、TVerの視聴者と地上波の視聴者の差がなくなってきたことでその定石が崩れ、TVerにおいても“かつての地上波”と同じような番組が人気となっているのだ。動画の中で佐久間Pは、“TVerの一般化”の例として、テレビ朝日の深夜バラエティー枠「バラバラ大作戦」のなかで藤本美貴と横澤夏子が出演する『夫が寝たあとに』(テレビ朝日系)がTVerで人気になっていることを挙げる。
「地上波ではなかなかピックアップされにくい攻めた番組がTVerで注目され、一部で人気が出るという構図がありました。しかしTVerが一般化した結果、攻めた番組が目立たなくなっている。これが何を意味するかというと、少し前なら“TVerで回るから”ということを口実に“攻めた番組”を作ることもできましたが、今後はそれも難しくなってくるということです。裏を返せば、女性視聴者に向けられた番組がどんどん増えていくということでもある。『夫が寝たあとに』のように、ママタレントの活躍の場はますます拡大していくでしょう」(テレビ局関係者)
さらに“TVerのアメブロ化”の未来もささやかれている。
「アメブロ(アメーバブログ)といえば、多くの芸能人が公式ブログをやっていたプラットフォームですが、だいたひかるやクワバタオハラ・小原正子ら“ママタレント”が存在感を増していった。今となっては子育てをしている女性がメインの読者となっていて、もはや“ママタレブログ”のプラットフォームとなっている。家事をしている合間に、主婦がサラッと楽しめるようなイメージがアメブロの良さで、そこに主婦が共感できる内容があれば人気も高まっていくわけです。TVerについても、かなり近い雰囲気が出ている。家事をしながらスマホで見られるようなライトな番組が人気で、なおかつママタレが出ていれば、共感も得られる。忙しい主婦にとっては、時間帯を気にせずこういった番組を楽しめるTVerは、とてもありがたいサービスともいえる」(同)