穂坂監督によると、森且行は後輩レーサーが悩んでいると相談に応じるなど、とても面倒見がいいそうだ。先述した大先輩の篠﨑実からも森はかわいがられているという。レース中は火花を散らし合う競争相手だが、レースが終わればお互いを励まし、高め合う、アットホームな人間関係がカメラからも伝わってくる。
レース前は体重を削ぎ落とすストイックさ
SMAP時代には関心がなかったという穂坂監督だが、森且行の取材を始め、レーサーとしてのストイックさとレース場から離れると屈託のない笑顔を見せるギャップのある人柄に惹かれたそうだ。
穂坂「最初は密着取材も断っていた森さんですが、番組が放送されたことで自分のリハビリ状況を心配していたファンに近況を伝えることができると分かり、その後は認めてくれました。私が回すカメラに向かってというよりは、カメラの向こうにいるファンたちに対応してくれていたように思います。身長177cmある森さんは普段は体重60kg近くあるんですが、レース前には55kgに体重を落とします。少しでも軽い方がレースは有利になるからです。これまで多くの人を取材してきましたが、あそこまで自分に対してストイックな人は、他にはいないんじゃないでしょうか。子どもの頃から憧れていたオートレーサーになるという夢を叶えながら、今も好きであり続ける。アイドル時代から、自分がやりたいことを一心に追い続けている。本当にかっこいいなと思います」
映画の終盤、レースを終えた森が自分の乗るバイクを解体し、延々とメンテナンスする様子をカメラは映し出している。彼ほどメンテナンスに時間を費やすレーサーはいないという。日々のレースに命を張り、ブレることなく生き続ける姿は、ギャンブルやSMAPに興味がなかった人も魅了するに違いない。
ドキュメンタリー映画『オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版』
監督・編集/穂坂友紀 出演/森且行 ナレーション/萩原聖人
配給/KADOKAWA 11月29日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
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