そうか、そうだねえ、おっしゃる通りです。そんなお話。
■ミステリーだけにとどまらない
嘘が聞き分けられなくなったと不安がる鹿乃子が、そこらへんの子どもの「宿題をやった、やってない」という小さな嘘を聞き分けて安心するシーンは印象的でした。この能力さえなければ普通の人として生きていけたのに、とあんなに忌み嫌っていた能力が、左右馬という人に認められたおかげで「失いたくないもの」に変化している。
人が人と出会うことで「こんな自分はもう嫌だ」の「こんな」が変化しないまま「こんな自分でいたい」と思えるようになることがある。最初のころはチート能力者活用ミステリーだと思って見始めたドラマでしたが、こういうことを語ってくるんだよな。ミステリーだけに、全然とどまらない。
それともうひとつ、このセリフね。
「どんなに聞いても嘘か本当かわからなかったら、何かを信じて、傷つくのを覚悟して飛び込んでみなきゃ始まらないでしょ」
当然、私たちも嘘は聞き分けられないし、それでも生きてるわけです。このセリフの通りのことをやってるんだよな。誰もが、これを繰り返して生きてきたわけです。改めて言語化されると、生きてるだけでなかなかすごいことをやってるんだというメッセージですね。こういうポジティブさの提案は、なんか素直に受け入れてしまいますね。
(文=どらまっ子AKIちゃん)