ほか5棟についても同様に申請が進められており、採択されれば2026年頃までのオープンが目標になるという。また、2025年4月からは、運営準備やワークショップが実施される予定だ。
計6棟のそれぞれの特色については、下記の「能登みんなの家」詳細ページをチェックしよう。
「能登みんなの家」3つの共通指針
「能登みんなの家」の設計にあたっては、能登にふさわしい「みんなの家」のかたちとして、大きく3つの共通の指針を掲げている。
1つ目は、「地元の人の想いをかたちにする」こと。「みんなの家」を運営するのは、自身も被災者である有志の人々が集う団体だ。今なお日常生活すらままならない状況のなかで、能登の未来を見据えた活動をはじめている。
個性ある運営者のビジョン、例えば馬と触れ合う場、漁業団体の活動の場、公園のようなまちづくり、囲炉裏やかまどのある食堂、大きなキッチン、風呂、コワーキングスペースなどのビジョンを設計に反映。そうすることで、その地域で中長期にわたって活用され、地元の人々の手で成長させていけるような柔軟な「みんなの家」を目指しているという。
2つ目は、「持続可能な自立した建築にする」こと。豊かな自然環境のなかに集落が点在する能登半島では、コンポストトイレや太陽光発電、井戸水の活用、薪ストーブ・薪風呂といった薪の活用、瓦による環境負荷低減など、震災以前よりメガインフラに依存しない自給自足生活の土壌がある。
能登における「みんなの家」は、災害に強く、自然環境を味方につけるようなオフグリッドな施設計画とし、その価値を発信する場になることを目指しているという。また、その地域独自のなりわいを担う拠点にもなることで、自立した運営体制をつくる考えだ。
3つ目は、「能登の文化を未来に継承する」こと。能登では、救出した能登瓦の再利用、下見板貼り、番屋の保存活用、里山の食文化の継承など、そこで育まれてきた特色ある文化があり、地元の人々の多くはそれに誇りをもっているという。