橋本環奈主演の朝ドラ『おむすび』(NHK総合)は、北村有起哉推しで見ると面白い。何度でも口酸っぱく、強調しておきたい。
舞台が福岡の糸島から神戸編になっても、変わらず北村有起哉が面白い。というか、その顔、その存在、その演技がどんどん豊かに、微細になっている。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、舞台が移る神戸編でも北村有起哉尽くしの本作を解説する。
◆大宴会で泥酔する聖人
福岡のギャル連合ハギャレンに加入した主人公・米田結(橋本環奈)が、第4週第20回で、地元の糸島フェスティバルにメンバーたちと出場して、パラパラを披露する。実行委員長である父・米田聖人(北村有起哉)にギャルであることを隠している結は、ひやひやしながらパラパラを踊った。
その夜、結の実家で、打ち上げの大宴会が開かれる。大いに飲んで笑って、盛り上がるところへ、聖人が帰ってくる。北村有起哉があの固有の仏頂面を浮かべ、どうも心穏やかでないことがすぐにわかる。
結がギャルであることを聖人は知っている。ハギャレンのカリスマ総代だった結の姉・米田歩(仲里依紗)のような不良になってしまうのか。心配で心配でたまらない聖人は、この大宴会で泥酔する。歩を不良にしてしまったと思い込んでいる過去を激しく後悔して乱れに乱れるのだ。
◆チャーミングな仏頂面俳優の見せ場
それ以前から、聖人は結の動向を過剰に心配する。高校生活が始まり、書道部とギャルを両立しようとする結の帰りが遅いと、そわそわそわそわ。門限の19時を過ぎたものなら、もういてもたってもいられない。
第2週第7回では、最寄駅まで迎えにいった聖人に結が「そんなにうちのことが信じられんの」と感情的になるひと幕がある。過剰な心配は、心配される側の負担になる。聖人はなんとか黙って見守ろうとはするのだが。