今日でいえば調理実習の買い物に結ちゃん班だけが時間がかかっていた場面がそうで、作る側としては「時間がない中で、仲違いしていたメンバーが黙々と力を合わせる」というシーンをやりたいわけです。通常、そのシーンに至るまでに違和感を生まないようにお話を整えるという作業が発生するわけですが、このドラマでは誰が見ても「変だろ」と思っちゃうような矛盾や不都合が平気で放置されてるんですよね。

 人物についてもそうで、今からやりたい展開のために、過去に描かれた登場人物たちの言動や心象との間に生まれた矛盾が、矛盾のまま放置されてる。かと思えば、「結ちゃんが野菜に詳しい」なんて誰も知らない設定がいきなり放り込まれたりする。要するに、逆算ができてない。

 こうした人物たちの過去の言動との矛盾になぜ腹が立つかといえば、彼女たちが泣いていたからなんです。アユも、結ちゃんも、泣いてたんだ。声を荒らげて、涙ながらに自分の痛みを吐露してたんだ。いろいろ思うところがありながらも、せめて彼女たちが泣きながら絞り出した声くらいは肯定的に拾い上げよう、あの声こそが彼女たちの本質なんだと理解しようと思って見続けてみたら、全然知らない別の誰かになって再び画面に現れる。

 マキちゃんの墓参りのことですよ。来週やればいいだろと思ってるのかもしれないけど、今回のアユは登場した瞬間にアユ自身の過去を裏切っています。こういう裏切りはキャラクター自身を殺すことになるんだけどな。わかってんのかな。

(文=どらまっ子AKIちゃん)